コロナウイルス感染症の流行により、ホームセンター需要が高まっている。
上場しているホームセンター、20社を対象に最新の業績(20年最新四半期)を集計したところ20社中16社で前年同期比増収となった。
更に売上合計額も前年比1割増加となり、損益に関しては20社中19社の営業利益が前年同期比増益を達成。
2019年の消費税増税を受け、リフォーム工事の需要減などの影響をうけていたものの新型コロナウイルスの感染拡大で、特に郊外のホームセンターでは三密を避けてソーシャルディスタンスがたもてる大型店舗が注目を集めた。
さらに、もともと強みとしていた品揃えの多さや価格の低さにも注目されマスクや消毒液などのコロナ対策関連の商品を買い求める客が増加。
マスクなどの衛生用品の他、アクリル板や飛沫防止用のビニールシートや自宅でできる趣味として園芸用品やDIY関連商品が売上を伸ばし、思わぬ形で業績へ良い影響をあたえることとなった。
DIY関連商品に関しては特に売り上げを伸ばしており、DCMホールディングスは営業利益が前年同期比+70.4%となった他、コーナン商事は前年比の売上が+29.5%を記録している。
コーナン商事ではDIY用品や園芸用品などの他、日用品、薬品、インテリア用品からペット用品まで幅広く売上が伸びた結果と考えられる。
しかし中には営業時間の短縮や大型連休での全店舗休業措置などを実施した企業もあるため、その後営業再開後思ったより需要が回復せずに売上・営業利益ともに伸び率が低くとどまってしまったところもあった。
今後も巣ごもり需要は高止まりをしていくと見られているためホームセンター業界にとっては追い風が続くと見られている。
しかしその中で課題となっているのが他業態との競争やコロナ後の需要減に関しである。
2019年以降消費税増税に伴い起きた駆け込み需要後には殆どの店舗で集客力が落ちている。
しかしどの企業も新規出店には力を入れており自身の買い物圏内に複数の店舗があることも珍しくなくなっている上、ホームセンター以外にも低価格を売りにしているドラッグストアなどの業態と競合しやすくなっているため、さらなる差別化が必要となってくると考えられる。
ホームセンターならではの「住まいづくり」に関する需要に積極的にアプローチし、実店舗以外の部分へのサービス展開も必要となってくるのではないだろうか。